広告の評価に有用なインクリメンタルリーチとは

インクリメンタルリーチとは 広告プロモーション

デジタル広告の世界は日々進化しており、広告効果を最大化するためには、常に新しい知識と戦略が求められます。その中でも、「インクリメンタルリーチ」は、メディアプランニングにおいて非常に重要な概念の一つです。しかし、その意味を理解していても、実際の活用方法に悩むデジタルプランナーの初学者も少なくありません。

この記事では、インクリメンタルリーチの基本から、具体的な最大化戦略、そして実践に役立つツールまで、デジタルプランナー初学者に向けて分かりやすく解説します。

インクリメンタルリーチとは?

インクリメンタルリーチとは、広告キャンペーンにおいて、特定のメディアやチャネルを追加することで、新たにリーチできるユーザーの割合を指します。つまり、既存の広告接触者に加えて、どれだけの新規ユーザーに広告を届けられるかを示す指標です。

例えば、テレビCMに加えてオンライン動画広告を配信した場合、テレビCMだけではリーチできなかった層に、オンライン動画広告を通じてリーチできる可能性があります。この時、オンライン動画広告によって新たにリーチできたユーザーの割合が、インクリメンタルリーチとなります。

なぜインクリメンタルリーチが広告評価に有用なのか?

インクリメンタルリーチが広告評価に有用な理由は、広告キャンペーンの効果を正確に把握し、最適化するために不可欠だからです。

従来の広告評価では、総リーチ数やインプレッション数など、単純な指標が用いられることが多くありました。しかし、これらの指標だけでは、実際にどれだけの新規ユーザーに広告が届いたのか、重複して広告に接触しているユーザーがどれくらいいるのかを把握することができません。

インクリメンタルリーチを測定することで、以下のメリットが得られます。

●広告効果の可視化: 新規ユーザーへのリーチを把握することで、広告キャンペーンの真の効果を評価できます。
●広告予算の最適化: 重複リーチを避け、効率的に新規ユーザーにリーチすることで、広告予算の無駄を削減できます。
●メディアプランニングの改善: インクリメンタルリーチの高いメディアやチャネルを特定し、最適なメディアプランニングを実現できます。

このように、インクリメンタルリーチは、広告キャンペーンの費用対効果を高め、より効果的な広告戦略を立案するために、非常に重要な指標となります。

どうやってインクリメンタルリーチを最大化するか?

インクリメンタルリーチを最大化するためには、様々な戦略を組み合わせる必要があります。ここでは、具体的な方法を5つご紹介します。

  1. フリクエンシー設定を変更する
    ・フリクエンシーとは

フリクエンシーとは、一人のユーザーが広告に接触する回数を指します。フリクエンシーが高すぎると、同じユーザーに何度も広告が表示され、広告疲れや不快感を与える可能性があります。一方、フリクエンシーが低すぎると、広告がユーザーに十分に認知されず、効果が薄れてしまう可能性があります。


・最適なフリクエンシーの頻度とは

最適なフリクエンシーは、広告キャンペーンの目的やターゲット、クリエイティブなどによって異なります。一般的には、3回から5回程度の接触が効果的と言われていますが、商材やサービスによっては、より多くの接触が必要な場合もあります。


・セブンヒッツセオリーとは

セブンヒッツセオリーとは、消費者が商品やサービスを認知し、購買に至るまでには、平均して7回の広告接触が必要であるという理論です。この理論は、広告業界で広く知られており、フリクエンシー設定の参考として活用されています。

しかし、近年では、デジタルメディアの多様化や情報過多により、7回以上の接触が必要となる場合も増えています。そのため、セブンヒッツセオリーを鵜呑みにせず、常にデータに基づいて最適なフリクエンシーを検証し、調整することが重要です。

  1. メディア特性やターゲットのライフスタイルにあわせたクロスメディアプランを作成する
    ・リーンイン、リーンバックでメディアを組み合わせる

クロスメディアプランとは、複数のメディアやチャネルを組み合わせ、相乗効果を狙う広告戦略です。インクリメンタルリーチを最大化するためには、メディア特性やターゲットのライフスタイルに合わせて、最適なメディアを組み合わせることが重要です。

例えば、能動的に情報を取得する「リーンイン」型のユーザーには、検索広告やSNS広告が効果的です。一方、受動的に情報を消費する「リーンバック」型のユーザーには、テレビCMやオンライン動画広告が効果的です。

これらのメディアを組み合わせることで、様々なユーザー層に効率的にリーチし、インクリメンタルリーチを最大化することができます。

  1. メディア間の重複率を少なくする
    ・メディア間の重複率をどうやって少なくするか

メディア間の重複率とは、複数のメディアで同じユーザーに広告が接触する割合を指します。重複率が高いと、広告予算の無駄が発生し、インクリメンタルリーチが低下します。

重複率を少なくするためには、メディアの選定やターゲティング設定を工夫する必要があります。例えば、異なるデモグラフィック属性や興味関心を持つユーザーをターゲットにしたメディアを組み合わせることで、重複率を低減できます。

また重複率の少ないメディアの組み合わせを検証することは、インクリメンタルリーチを最大化する上で非常に重要です。以下に、重複率の少ないメディア例と、その検証方法について説明します。

まず、2022年の調査によると、YouTubeと複数の他の動画サービスを同時に利用しているユーザーは多く、特にAmazonプライムビデオと同時利用している人が多いことが示されています。実際、YouTube利用者の32%がAmazonプライムビデオも利用していました。これは、同じ動画コンテンツをより多くのプラットフォームで視聴する傾向を反映しています。

また、最新のデータでは、2023年における無料の動画配信サービスであるTVerについて、月間ユーザー数が3500万を超え、特に若年層の利用が顕著であるとの報告があります。TVerの月間動画再生数は4億回を超え、ユーザーの間での重複利用は他のサービスとも密接に関連しています。このような状況では、同じユーザーがTVerとABEMAの両方を併用することが考えられます。

このような同じユーザー特性のメディアの併用をなるべく避け、性質の異なるメディアを組み合わせていくことも重要です。

 4.フリクエンシーコントロールを行うためのツール「第三者配信」ツールを活用する

第三者配信ツール(3rd Party Ad Serving、3PASS)とは、複数の広告媒体を横断して広告配信や効果測定を行うツールです。3PASSを活用することで、メディアごとの重複ユーザーを排除し、正確なインクリメンタルリーチを測定できます。

代表的な第三者配信ツール(3PASS)をいくつかご紹介

Google Campaign Manager 360


特徴

Google Campaign Manager 360(CM360)は、広告の配信やパフォーマンスを測定するための強力なツールです。特に、デジタル広告のキャンペーンを一元的に管理できる点が特徴です。CM360では、広告配信の最適化、レポート作成、コンバージョン測定を効率的に行うことができます。


メリット

●統合的なもの: 他のGoogleサービス(例:Google Analytics、Google Ads)とシームレスに連携し、一元的なデータ分析が可能です。
●詳細な分析機能: 広告キャンペーンの効果を詳細に分析でき、さまざまなKPI(重要業績評価指標)に基づくレポートを作成できます。

デメリット

●コスト: 高度な機能を利用するためには、一定のコストが発生します。
●学習曲線: 機能が多いため、初めて使用する場合は学習が必要です。

Sizmek Ad Suite

特徴

Sizmekは、広告配信、分析、最適化を一体で提供するプラットフォームです。特にオーディエンスターゲティングに強みを持ち、多様な広告格式に対応しています。

メリット

●柔軟性: 様々な広告形式とチャネルに対応しており、プログラマティック広告の運用が容易です。
サードパーティのデータ連携: 外部データソースとの結びつきが強く、ターゲティングが洗練されています。

デメリット

●インターフェースの複雑さ: 多機能な分、インターフェースが複雑で初心者には使いづらい場合があります。
●信頼性の問題: 一部のユーザーからは配信の信頼性について不満の声もあります。

IAS(Integral Ad Science)

特徴

IASは、広告の視認性、ブランド安全、不正なインプレッションの防止を重視した分析ツールです。デジタル広告の信頼性を向上させることに特化しています。

メリット

●ブランド安全性: 不正インプレッションや不適切なコンテンツからブランドを守るための機能が充実しています。
●視認性の測定: 広告が実際にユーザーに表示されたかどうかの確認が可能で、広告効果の透明性を提供します。

デメリット

●コスト: ブランド安全保障サービスを提供するため、運用コストが高くなる可能性があります。
●リアルタイム性の課題: 一部の測定がリアルタイムで行われないため、即時の最適化には向いていない場合があります。

Momentum

特徴

Momentumは、広告業界向けのデータ管理プラットフォームで、広告キャンペーンの運用を効率化するためのツールです。

メリット

●データ統合: 広範なデータソースと接続可能で、キャンペーンの運用を最適化できます。
●専門的分析機能: 効果的な分析ツールを搭載し、広告の成果をリアルタイムで可視化できます。

デメリット

●カスタマイズの難しさ: ユーザーが求めるカスタマイズが難しい場合があり、柔軟性に欠けることがあります。
●サポートの不足: 一部ユーザーは、サポート体制が不十分だと感じることがあります。

DoubleVerify

特徴

DoubleVerifyは、広告の測定、ブランド安全、視認性の確保を提供するプラットフォームです。特に、広告が適切な場所に表示されているかを確認することにフォーカスしています。

メリット

●精度の高いデータ分析: 複雑なフィルタリング機能により、広告効果の測定が正確です。
●プラットフォームの中立性: プラットフォームに依存しないため、多種多様な広告ネットワークに対応しています。

デメリット

●複雑な料金体系: サービスのコストが多様化しており、予算管理が難しい場合があります。
●専門的知識が必要: 効果的に利用するためには、一定の専門知識が求められます。

第三者配信ツール(3PASS)の活用事例

3PASSは、クロスメディアキャンペーンの効果測定や、フリークエンシーコントロールに活用されています。例えば、テレビCMとオンライン動画広告を組み合わせたキャンペーンにおいて、3PASSを活用することで、各メディアの貢献度を正確に把握し、最適な予算配分を行うことができます。

DV360の活用


・DV360とは

DV360(Display & Video 360)とは、Googleが提供する広告プラットフォームです。dv360を活用することで、ディスプレイ広告や動画広告などを効率的に配信し、効果測定や最適化を行うことができます。
DV360は、オーディエンスデータを活用したターゲティングや、自動最適化機能など、高度な機能を提供しています。これらの機能を活用することで、インクリメンタルリーチを最大化し、広告効果を高めることができます。

まとめ

以上のように、インクリメンタルリーチは、広告キャンペーンの効果を最大化するために、非常に重要な指標です。この記事で紹介した戦略やツールを活用し、インクリメンタルリーチを意識したメディアプランニングを行うことで、より効果的な広告キャンペーンを実現できるでしょう。

デジタルプランナーの初学者の方は、まずはインクリメンタルリーチの概念をしっかりと理解し、日々の業務の中で意識することから始めてみてください。

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