2024年日本デジタル広告業界に起きる大きな変革

マーケティング

 2024年、日本のデジタル広告業界は大きな変革期に差し掛かっています。経済がアフターコロナに向けて回復し、日経平均株価が過去最高値を更新するなか、新たな試練が業界を待ち受けています。この変革の要因として、AIや異業種からの参入による競争の激化、リテールメディアの進展などが挙げられますが、最も重要なのは広告会社の存在意義です。
 かつては花形職業といわれた広告業界もいまはだいぶ様相が変わっています。広告業界がもっとも活況を呈していた1900年-2000年前半はマスコミが最も力をもっていた時代であり、広告会社の価値はどれだけ枠を売ってくるか、また広告主の財布を握れるかにかかっていました。2000年に入ってインターネット広告がそのシェアを伸ばすと同時に顧客との接点も増え、その双方性によるエンゲージメントや測定可能な利便性、またコストにおいてもマス広告の意味が問われるようになり、さらにいまではSNSなどによるアーンドメディアの広がりによって枠売りの意味すらなくなりつつあります。また、インターネット専業の広告会社ではさっそくRPAやAIによる入稿・運用自動化などの導入により広告運用に関わる人間の削減も進んでいます。

ここでは、広告会社が生き残り、成長するためにはどのような変革が必要なのかを考えてみたいと思います。

プレイヤーの変化

 広告業界におけるプレイヤーの変化は、伝統的な広告会社に加えて、インターネット専業広告会社やコンサルティング会社の台頭も顕著です。この変化は、マーケティングとビジネス戦略の統合が重要視されるようになった結果であり、例えばアクセンチュアソングのようなコンサル会社のマーケティング事業では、クライアントのビジネスの成長を促進するために、戦略、クリエイティブ、テクノロジー、デザインの専門家を組み合わせて提供しています。

 この変化の背景には、顧客企業が単なる広告だけでなく、ビジネス全体を包括するソリューションを求めるようになったことがあります。企業はマーケティング活動を単なる販促活動としてではなく、ビジネス成長の一環として捉え、そのためには広告やブランディングだけでなく、戦略的なアドバイスや技術的な支援が必要とされています。

 これにより、従来の広告会社にとって新たな競争相手が現れ、競争激化が広告業界全体を変革させています。

*2005年広告取扱高ランキング
1位  電通グループ 1兆5,591億円
2位  博報堂7,078億円
3位  アサツーディ・ケイ 3,848億円
4位  大広 1,459億円
5位  東急エージェンシー 1,246億円
6位  読売広告社1,021億円
7位  ジェイアール東日本企画962億円
8位  I&S BBDO 872億円
9位  マッキャンエリクソン792億円
10位 デルフィス 785億円

*最新(2023年)の広告取扱高ランキング
1位  電通グループ 5兆2,565億円
2位  博報堂DYホールディングス 8,950億円
3位  サイバーエージェント7,105億円
4位  アサツーディ・ケイ 3,529億円
5位  D.A.コンソーシアムホールディングス 2,083億円
6位  大広 1,412億円
7位  東急エージェンシー 1,044億円
8位  ジェイアール東日本企画 794億円
9位  デジタルホールディング 169億円
10位 アイレップ 157億円

 上記の通り、2005年にはランキングに入っていなかったインターネット専業広告会社が3社ランクインしており、その代わりに総合広告代理店3社がランキング外に落ちております。

業務プロセスの変化


 広告会社のメディアプランニングやメディアバイイング 、レポーティングは今まで人力で行ってきましたが、いまでは運用自動化ツールおよびプラットフォーム側のAIによる運用の効率化により、それまで人の力に頼っていた面が不要となってきています。大手の広告会社では人材不足により運用者のオフショア化を進めていたのが、今後はそれも必要なくなるかもしれません。

自動運用化ツール利用の例


・シロフネ
引用:https://shirofune.com/
<国内導入実績No.1>広告運用自動化ツール「Shirofune」
Shirofune(シロフネ)はプロの広告運用を再現できるようにシステム化した広告運用自動化ツールです。
Shirofuneなら、従来の広告運用より月間の作業時間を最大92%削減しつつ、同時に、広告成果の最大化を達成できます。

・ATOM
引用:https://www.atom.tools/top/
Google Ads、Yahoo!プロモーション広告、Facebook広告、Twitter広告など運用型広告のレポート作成を自動化
広告レポート自動化と数値管理の簡略化を実現します。

AIによる運用自動化の例


・Google/スマート入札
引用:https://support.google.com/google-ads/answer/9297584?hl=ja
Google 広告のスマート自動入札とスマート広告ソリューションでは、AI を使用して数百万ものシグナルをリアルタイムで分析し、効果的なタイミングで適切なユーザーに適切なメッセージを表示します。
Google AI ソリューションを使用すれば、広告や単価設定を個別に最適化しなくても、すばやく成果を向上させることができます。

・meta/AI Sandbox
引用:https://ja-jp.facebook.com/business/news/introducing-ai-sandbox-and-expanding-meta-advantage-suite
FacebookやInstagramを利用する一部の広告主向けに生成AIの新たな機能を検証できる「AI Sandbox(AIサンドボックス)」を提供しています。

AI Sandboxでは、広告文の書き換えや背景画像生成、画像のアスペクト比を自動調整などを試すことができます。

大手プラットフォームのリストラクチャリング

 近年、大手プラットフォームのリストラクチャリングが進んでいます。これには、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)などの世界的なプラットフォームも含まれています。これらのプラットフォームが行うリストラは、広告主や広告会社にとっても大きな影響を与えています。

 リストラの背景には、法的な規制や公衆のプライバシー保護への懸念、市場の飽和などがあります。これにより、広告主や広告会社は従来の方法に頼るだけでなく、新たな戦略やアプローチを模索する必要が生じています。

 例えば、プラットフォームのリストラによって、広告主や広告会社は従来のデジタル広告に依存せず、オムニチャネル戦略やデジタル以外のメディアにも積極的に投資する必要性が生まれています。また、これらのリストラは、広告主や広告会社に対して、新たなプラットフォームの探求やパートナーシップの構築を促しています。

国内大手広告会社の統廃合の進展

 国内の大手広告会社では、統合や統廃合が進展しています。これは、競争が激化する中で企業の強化や効率化を図るための動きです。例えば、電通デジタルやHDY ONEなどが統合の一例です。

 この統合の背景には、市場の成熟やデジタル技術の進化、顧客のニーズの変化などがあります。これらの統合は、広告会社のサービス提供の効率化や拡張、競争力の強化を目指しています。

 また、これらの動きは広告業界全体の構造変化を示唆しており、競争の激化や技術の進化に対応するための新たなビジネスモデルの構築が求められています。

広告主の新たなアクション

 広告主も新たなアクションを起こしています。リテールメディアの台頭や、世界的なアドベリの進展がその例です。これらの動きは、広告主が広告のあり方やメディアの選択について新たな戦略を模索し、広告会社に対しても新たなチャレンジを促しています。

 例えば、リテールメディアの台頭によって、広告主は従来のメディアチャンネルに頼るだけでなく、小売業界やECプラットフォームなどの新たなパートナーシップを構築し、顧客へのターゲティングや販促活動を強化する必要が生じています。

 また、アドベリの進展によって、広告主は従来の広告メディアに加えて、インフルエンサーマーケティングやコンテンツマーケティングなどの新たな手法にも注目し始めています。これにより、広告主はより効果的なマーケティング戦略を展開し、競争力を高めることが期待されています。

 これらの動きは、広告業界全体のダイナミクスを変えつつあり、広告主や広告会社は新たなビジネスモデルや戦略を模索する必要があります。

リテールメディアとは


 リテールメディアとは、小売・流通・EC事業者が保有する広告媒体のことです。広告媒体の例として、店頭に設置されたデジタルサイネージやECサイト、アプリなどが挙げられます。複数媒体を連携して広告を配信することで、メーカーは消費者に対して自社商品を効果的に訴求できるようになります。リテールメディアの市場規模は2023年時点で推計3,625億円でした。 市場規模の内訳はEC事業者(EC専業の小売企業)が3,405億円、小売企業(店舗事業者)が220億円で、EC事業者が全体の約94%を占めています。2027年には2023年と比べて約2.6倍の9332億円規模に拡大すると予測されています。

まとめ

 これまで述べたように2024年の日本デジタル広告業界は大きな変革期にあります。競争の激化や新たな技術の導入、プラットフォームの変化など、様々な要因が業界を変えつつあります。広告会社はこれらの変化に対応し、柔軟かつ創造的なアプローチを取ることが求められています。これからの広告業界は、単なる広告の提供だけでなく、戦略やテクノロジーの提供も含めた総合的なサービスが求められる時代になるでしょう。

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