近年のインターネット広告の急速な発展とともに、世界中でアドフラウド(不正クリックなどの詐欺行為)や不健全なサイトに広告が掲載されることで起きるブランド毀損が深刻化しています。
そこで、米国のIASが取り組みを始めたアドベリフィケーションといわれるボットや不適切サイトへの誘導などの広告詐欺を防ぐための取り組みは日本においても2019年にJAAAとJIAA、アドバイターズ協会の3者によってJICDAQが設立され、2023年2月現在では 登録アドバイザー111社、品質認証事業者136社、登録事業者167社、賛助登録事業者2社、サポート官公庁1自治体が参加しています。

このJICDAQに登録するには自己認証と第三者認証との2つの方法があり、第三者認証の場合は費用を支払うことでABC協会のサポートが受けられ、企業のアドベリへの取り組みの適正化が認められることではれて認証事業者として登録され、企業を取り巻く関係者にその安全性を示すことで取引の円滑化を目指すことができます。
JICDAQとは
日本アドバタイザーズ協会、日本広告業協会、日本インタラクティブ広告協会の3つの広告関連団体は、デジタル広告の品質向上を目指し、第三者検証機関「JICDAQ」の設立を確定し、「JICDAQ宣言」を来春に設置予定のデジタル「広告品質認証機構」(正式名称)は、「アドフラウドを含む効果のない配信の排除」と「広告掲載先の品質に関わるブランドセーフティの保証」に焦点を当てた品質認証に取り組みます。
広告会社におけるブランドセーフティ担当者の使命と役割とは

広告会社におけるブランドセーフティ担当者は、主に広告の配信やコンテンツの管理において、ブランドのイメージや価値を保護する責任を担っています。
以下にその使命と役割について記載します。
ブランド価値の保護
広告会社におけるブランドセーフティ担当者は、ブランドの価値やイメージを保護するために、広告が適切な環境で表示されるように確認します。不適切なコンテンツや環境での広告掲載を防ぎ、ブランドに対するリスクを最小限に抑えます。
コンテンツの適切な選定と評価
ブランドセーフティ担当者は、広告の掲載先やコンテンツの適切さを評価します。それには、不適切なコンテンツ(暴力、不適切な言語、性的表現など)や、ブランドと合わないコンテンツの回避が含まれます。
法的および倫理的コンプライアンスの確保
ブランドセーフティ担当者は、法的および倫理的な規制に従い、コンプライアンスを保証します。特定の業界基準や法律に対する遵守が求められます。
リスク管理と危機管理
ブランドセーフティ担当者は、リスクを評価し、危機管理計画を策定します。もし問題が生じた際には、迅速に対処し、ブランドへの損害を最小限に食い止めるための対策を講じます。
広告技術とツールの活用
ブランドセーフティ担当者は、広告技術や専門ツールを使い、広告の配信を管理し、コンテンツの品質や適切さを保証します。
関係者との連携
ブランドセーフティ担当者は、内部の広告担当者や外部の広告パートナーと協力し、ブランドの安全性を維持するための戦略を策定し、実行します。
これらの役割を通じて、ブランドセーフティ担当者は、広告が適切な環境で表示され、ブランドの価値と信頼性が損なわれないようにすることに焦点を当てています。
JICDAQ登録においてブランドセーフティ担当者の行うべき代表的なチェックポイント

尚、このJICDAQに登録を申請する際には当然ながら審査がありますが、その審査内容としては、いくつかの重要なチェック項目があります。また、これらを推進するにあたり申請企業はブランドセーフティ責任者および担当者を配置する必要があります。以下にブランドセーフティ担当者の行うべき代表的なチェックポイントを例として挙げます
1.自社ポリシーの説明と広告主への確認
広告の発注を受ける際にはきちんと自社のポリシーの説明と広告主の定めているポリシーを確認する必要が あります。そして配信事業者側にもそれを伝え、実行させることが必要です。
2.発注担当者への教育と計画的なコミュニケーション
ブランドセーフティ担当者は、自部署だけでなく社内の発注担当者へも運用方法の教育も必要となります。また、きちんと運用しているか定期的な報告を求める必要があります。
3.配信事業者や委託先広告会社の審査とポリシーの確認
配信事業者および二次受けといわれる委託先広告会社が反社やペーパーカンパニーでないかの審査と独自で定めているポリシーについての確認をする必要があります。
4.配信事業者や委託先広告会社への広告プレイスメントの確認
もし広告主から配信事業者および委託先広告会社がどのような配信面に掲載しているか確認を求められたときは掲載先一覧レポートを提出する必要があります。そのため事前にレポートの提出が可能かどうかを確認する必要があります。
5.委託先や配信事業者のボット対策の取り組みの確認
配信事業者および委託先広告会社がどのようにボット対策を行っているか(アドベリツールを使用など)確認する必要があります。広告配信システムにおいてブロックなどの機能を持たない事業者は早急に対応を求めなければなりません。
6.トラブル時のエスカレーションなどの体制整備
上記のような対策をとっていても広告詐欺の被害に遭う可能性があります。そのような場合の社内でのエスカレーションフローやJICDAQへの迅速な報告体制を整えておくことも重要です。
審査にあたり重要な書類について
以下がJICDAQの登録申請において代表的な提出書類となります。これらの書類は、広告主や関連する企業がJICDAQに登録する際に、広告環境の品質や安全性を確保するための手順や取り組みを示す重要な資料となります。
1.ブランドセーフティ、無効トラフィックチェックシート
- ブランドセーフティ(Brand Safety)チェックシート:広告主が自社のブランドイメージを保護するための対策の意味があります。このチェックシートは、広告が掲載されるコンテンツがしっかりなコンテキストに表示される可能性を評価し、そのリスクを軽減するための対策を示すものです。 具体的には、適切なコンテキストに広告が表示されるかどうかを確認し、懸念やリスクがある場合の対処方法を記載します。
- 無効トラフィック(Invalid Traffic)チェックシート:支払われた支払い、ボットによる自動生成された賃金、または不正な違法を回避します。また有効な賢明な対策を講じるための対策を示します。
2.ブランドセーフティ業務マニュアル
これは企業が実施する具体的なブランドセーフティ対策や手順をまとめた文書です。広告主が自社ブランドを保護し、広告環境を管理するための具体的な指針やポリシー、規定を含んでいます。ブランドセーフティ業務マニュアルは、広告掲載のプロセスやリスク管理の手法、事前事例への対処方法などを詳しく説明しています。
3.委託先および配信事業者向けヒアリングシート
このシートは、JICDAQへの登録を希望する企業が、委託先や広告配信事業者との関係を明確にするための質問や情報収集のためのフォーマットです。これは、協力関係を明確にし、JICDAQの権利に適合するようなパートナーシップを確立するために役立ちます。
4.発注担当者用教育研修マニュアル
委託先や配信事業者がJICDAQの認証を受けている場合は、運用フローについては細かく確認をする必要はないのですが、もし広告運用などを委託している広告会社もしくは広告配信事業者がJICDAQの認証を受けていない場合は、発注前のポリシーやブロックリストの確認、運用中のレポートに異常値が見られた場合や、定期的にプレイスメント確認を行う必要があります。
FAQ
Q: 広告主および広告配信事業者への自社ポリシーの提示はどのように行われますか?
発注担当者は取引先申請時に、自社ポリシーに基づく資料(反社チェック表、ブランドセーフティ・無効トラフィック対策チェック表確認書など)を提出します。委託先がJICDAQ未加入企業の場合、教育実施判断が行われ、必要に応じて委託先に対して自社ポリシーの詳細説明を行います。
Q: 委託先広告会社がJICDAQ認証未取得の場合、どのように教育実施判断が行われますか?
JICDAQ教育についての実施判断は、委託先広告会社がJICDAQ未加入の場合に行われます。発注担当者は取引先申請時に、委託先のJICDAQ未加入状況を確認し、必要に応じて教育実施が行われます。これにより、JICDAQのガイドラインに基づく理解が確保されます。
Q: 広告掲載先の品質基準の確認はどのように行われますか?
発注担当者は定期的に、ブランドセーフティ担当者へ配信済みの広告掲載先の状況報告を行います。また、委託先広告会社がJICDAQ認証を取得している場合は不要ですが、未取得の場合は不適切リスト(IHCリスト・CODAリスト)を提供します。また、報告された運用状況はブランドセーフティ担当者がチェックし、把握・管理を行います。
Q: 問題発生時の対応手順はどのようになっていますか?
問題発生時には、発注担当者は速やかに委託先広告会社に不適切サイトへの掲載停止依頼を行います。発注担当者はその後、ブランドセーフティ担当者へ事象と対応スケジュールの報告、および対応後には対応完了報告を行います。報告された問題内容と対応方法は、ブランドセーフティ担当者が管理を行います。
Q: 委託先広告会社がJICDAQ認証未取得の場合、発注担当者はどのように対応しますか?
委託先広告会社がJICDAQ認証未取得の場合、発注担当者は以下の手順で対応します。
①委託先のJICDAQ未加入状況を確認。
②必要書類(反社チェック表、ブランドセーフティ・無効トラフィック対策チェック表確認書等)の提出を委託先に依頼。
③IHCリストを提供するにあたり覚書の締結と自社および広告主のポリシー説明を行う。
④取引先申請書類の精査後、登録完了し発注を行う。
Q: JICDAQの認証取得によって、具体的に広告運用においてどのようなメリットがありますか?
JICDAQの認証取得にはいくつかのメリットがあります。まず、JICDAQは安全で信頼性の高いデジタル広告運用を促進するための標準を提供しています。認証を取得することで、広告主や広告配信事業者は規定に基づいた広告運用が行われていることを示すことができ、信頼性向上やブランドイメージの向上が期待されます。また、JICDAQの認証は業界基準に沿った運用が行われていることを示すものであり、広告主との信頼関係の構築に寄与します。
Q: 委託先が3PASSベンダーの場合はどうすればよいでしょうか。
委託先が3PASSベンダーの場合、以下の手順を踏むことが重要です。
①委託先が3PASSベンダーであることを確認し、その認証が有効であるかを確認します。
②JICDAQの認証とは独立して、3PASSベンダーの認証も確認しておくことで、より広告運用の信頼性を高めることができます。
③JICDAQのガイドラインに基づいて、委託先が3PASSベンダーの認証を取得している場合でも、引き続き広告掲載基準やブランドセーフティの観点から注意深く連携を行います。
Q: 委託先がIASやモメンタムのアドベリツールを使用している場合はJICDAQ認証取得者と同じ対応でよいでしょうか?
IASやモメンタムのアドベリツールを使用している場合でも、JICDAQのガイドラインに基づき、引き続きブランドセーフティや無効トラフィックの対策を実施することが重要です。
他のツールを使用している場合でも、JICDAQの認証取得者はJICDAQの基準に従った業務を行い、広告運用の信頼性を確保することが求められます。
Q: 委託先や配信事業者への広告配信後のプレースメントチェックについて対象となるプラットフォームがJICDAQの認証を受けている場合はチェックは不要でしょうか。
対象がJICDAQの認証を受けているプラットフォームの場合でも、プレースメントチェックは行うべきです。 JICDAQの認証は一定の基準を満たしていることを示すものですが、実際の運用においても問題が発生する可能性があります。定期的なプレースメントチェックを通じて、広告が掲載されている場所や形態が規定に沿っているかを確認し、品質を保つための対策を講じることが重要です。
Q: 発注担当者が確認する作業すべてにおいて委託先や配信事業者がJICDAQの認証を受けている場合と、受けていない場合の違いを明確にしてください。
JICDAQの認証を受けている場合と受けていない場合の違いは以下の通りです。
1.初回取引時の業務フロー
・JICDAQ認証ありの場合: 初回取引時において、JICDAQ認証を持つ委託先に対する手続きが簡略化される可能性があります。
・JICDAQ認証なしの場合: 初回取引時には、JICDAQ未加入の委託先に対して必要な手続きが増えます。
2.プレースメントチェック
・JICDAQ認証ありの場合: JICDAQの認証を受けていても、定期的なプレースメントチェックが必要です。
・JICDAQ認証なしの場合: プレースメントチェックは必須で、広告が適切な場所に掲載されているかを確認する必要があります。
3.問題発生時の対応
・JICDAQ認証ありの場合: 問題が発生した場合、JICDAQのガイドラインに基づいて速やかに対応します。
・JICDAQ認証なしの場合: 問題が発生した場合も速やかに対応し、適切な措置を講じる必要がありますが、JICDAQの認証の有無による特別な違いはありません。
以上、今回はJICDAQ登録申請においてブランドセーフティ担当者および発注担当者として行うべき使命と役割、また登録にあたって必要なチェックポイントと提出書類についてご案内いたしました。
もし、今後JICDAQの認証を目指す広告会社もしくは配信事業者の担当者はぜひ参考にしてみてください。


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