今、話題になっているOMO。OMOとは「Online Merges with Offline」の略で、デジタルマーケティングにおける新しい概念です。今回はこれからの小売業界を大きく変えるこのOMOについてご説明したいと思います。
今までオンラインからオフラインへの誘導するマーケティングであるO2O「Online to Offline」では企業が会員に対してクーポンを発行したりして、リアル店舗への誘導を行っていました。またオムニチャネルではリアル店舗やECショップ、カタログ通販など様々なチャネルをまとめて消費者といつでもどこでも繋げれる枠組みでビジネス機会となるタッチポイントを増やしただけでなく、他社との競争のための囲いこみを実現しました。それに対し、OMOは一言で言えば先に挙げたオンラインとオフラインとの融合ということになります。
OMOではリアルでもアプリを通じて商品の選択や決済を行うことでオンライン・オフラインともに収集した顧客データを分析することで個人に合わせた最適な情報を届けることが可能となります。またOMOではオンラインとオフラインの隔たりがないため、それらの情報をいつでも届けることができ、消費者への販売機会を逃さないことも大きなメリットとなります。
スマホ決済率が60%と言われる中国において急速に進むOMOは「Online Merges with Offline」とも言われ、O2Oやオムニチャネルが企業目線で作られていたシステムであったのに対し、ユーザー目線で作られたシステムです。OMOのメリットはスマホさえあればオンライン・オフライン問わず簡単に決済ができ、また顧客データを統一化することにより、顧客が求めているモノや体験を素早く提供することで顧客の満足度を高めると同時に売上拡大につなげていきます。またPDCAのスピードを早めていくことで他社との差別化を図っていくことが可能になります。
また、オンラインとオフラインとの顧客データ一元化により、よりデータの精度が上がり、顧客のインサイトがより明確化します。そのためその顧客が本当に求めている商品だけでなく潜在的なニーズを予測し、レコメンドしていくとか、データの量が増えれば需要予測から在庫量適正化など全体最適化の施策も取りやすくなります。
今回は中国市場における代表的なユニコーン企業を例に挙げてご説明いたします。
革新的なオーダーシステムと効果
ラッキンコーヒーは、中国のコーヒーチェーンとして2017年11月に設立され、わずか1年で525店舗(2018年5月現在)を展開し、スターバックスを含む業界1位の企業に挑戦しています。その急成長の背後には、革新的なオーダーシステムと効果的なマーケティング戦略があります。
ラッキンコーヒーでは、オーダーは全てアプリのみで行われます。顧客は来店前にアプリを通じて商品を注文し、店舗に到着後にQRコードを提示するだけで、商品が受け取れる画期的なシステムを採用しています。このアプリによるオーダーシステムは、店員の会計業務を不要とし、効率的な受付と現金でのやり取りを排除することで、店員の負担を軽減しました。これにより、店員はより効率的に業務に集中できるだけでなく、人件費削減にも成功しました。また、デリバリーサービスも提供しており、店舗に限らず多様なシチュエーションでコーヒータイムを楽しむ新しいライフスタイルを提案しています。
巧妙なマーケティング戦略と顧客の獲得
ラッキンコーヒーの成功には、巧妙なマーケティング戦略も大きく寄与しています。特に、アプリを活用した顧客へのリーチ拡大と新規顧客の獲得に焦点を当てています。
まず、アプリのダウンロードを促進するために、「アプリのダウンロードでコーヒー1杯無料」というキャンペーンを実施しています。これにより、アプリの利用を奨励し、顧客の囲い込みを図っています。さらに、既存顧客の拡散効果を活用し、新規顧客を獲得するために、「友達をアプリに招待して1杯無料」というキャンペーンも行っています。この戦略により、既存顧客の拡散を促進し、新規顧客の流入を実現しました。
また、顧客のロイヤルティを高めるために「2杯買うとさらに1杯無料」というキャンペーンアプローチを採用しています。これにより、リピート購入を促進し、顧客の満足度を向上させる一方で、顧客の継続的な利用を確保しています。
平安保険 – オンラインとオフラインの融合による優れたサービス提供
平安保険は中国で最も大きな保険グループとして知られ、顧客に優れたサービスを提供するためにアプリを活用しています。そのサービス内容と効果について掘り下げてみましょう。
平安保険のアプリを利用することで、顧客は自身が暮らす地域内で最も信頼できる医療機関を調べ、情報を得ることができます。これにより、顧客は信頼性の高い医療機関を容易に見つけることができるだけでなく、早期の診断や治療を受けることが可能となります。また、アプリを通じて予約まで行えるため、待ち時間の軽減にも寄与しています。更に、医師との直接チャットを通じた相談なども可能であり、顧客はいつでも医療的なサポートを受けることができます。
驚くべきことに、このサービスは保険契約者に限定されず、誰でも利用できる点も特筆すべきです。平安保険は、単に既存顧客の満足度向上とデータ収集にとどまらず、新規顧客の獲得にも積極的に取り組んでいます。このオープンなサービス提供により、多くの顧客に利用されることで、顧客とのエンゲージメントがさらに深まることが期待されます。
OMO(オンライン・モバイル・オフライン)の進化が業界を変革
ラッキンコーヒーや平安保険の成功例は、OMO(オンライン・モバイル・オフライン)の進化が新しい小売業の概念として台頭していることを示しています。これらの企業は、デジタルトランスフォーメーションを駆使し、オフラインとオンラインを融合させることで顧客の囲い込みを図り、サービスの質と効率を向上させています。
今後、あらゆる業界でOMOの進化が加速することで、顧客のデータ一元化、リアルタイムな顧客とのコミュニケーション、顧客ニーズへの瞬時の対応が可能となり、顧客とのエンゲージメントがさらに深まっていくでしょう。デジタルトランスフォーメーションは大企業だけでなく中小企業にも重要であり、部分最適化ではなく全体最適化を目指すことが成功への鍵となります。この革新的な波に乗ることで、さまざまな業界で競争が加速し、新たな可能性が広がることでしょう。未来に向けて、ビジネスは常に進化し続けることを忘れず、顧客のニーズを理解し、積極的な変革を進めていく必要があります。


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