デジタル広告に関わる方なら「アドベリフィケーション」についてご存知の方も多いとは思いますが、これはインターネット市場の拡大に伴って深刻化しているアドフラウド(不正クリックなどの広告詐欺)に対する防止策の取り組み全般のこと指します。ただ日本企業の取り組みはアメリカやヨーロッパなどと比較するとかなり遅れており、2022年の国内におけるアドフラウドの被害額はなんと1100億円以上ともいわれています。
今回はこのアドフラウドに対する、日本国内における取り組みの一例についてご紹介したいと思います。
広告主の取り組み

ここ数年、大手企業を中心にアドフラウドによる広告費の損失、また不健全なサイトへの広告掲載の防止ブランドセーフティへの取り組み=アドベリフィケーションが進んできており、主にアドベリツールと呼ばれる広告ブロック機能を使用して大きな成果を上げる企業も出てきています。
このような日本を代表する企業がアドベリに取り組み、その成果について周知させていくことで追随する企業も増えていくよい流れができつつあります。
「富士通」
富士通は国内でもいち早くアドベリフィケーションに取り組み、成功された企業の一つで海外のアドベリベンダーを導入、導入したブランドセーフティツールでは、フィルタに基づいて、広告の掲載に適したページかどうかをリアルタイムでチェックして、不適切だと判断されたページには表示されないよう入札や表示の直前にブロックすることでブランド毀損を防ぎ、キャンペーンにおいて、11.96%のブランドリスク削減に成功されたとのことです。
「エイチーム」
主にスマートフォン向けコンテンツおよびインターネット向け比較サイト・サービスの開発・運営を行うエイチームもアドベリフィケーションにおいて大きな成果を上げている企業です。エイチームでは、リスティング広告で突然CPCが高騰したり、ボットと呼ばれる悪意のあるプログラムからのアクセスで広告費が消化され、ROAS・ROIの数値が突急激に低下するなど、広告の配信を停止せざるを得ないことがあり、この原因をアドフラウドと捉えアドベリツールを導入。
アドフラウドをブロックし、コンバージョンにつながらないボット等からの広告配信を削減することで、マーケティング指標の改善と広告費の適切なアロケーションを実現。年間で約数千万円のアドフラウド被害を未然に防いだ結果となったようです。
業界の取り組み

「JICDAQ( 一般社団法人 デジタル広告品質認証機構)」
JICDAQ(一般社団法人デジタル広告品質認証機構)は、デジタル広告が、生活者や企業、そして社会にとって有益であることを願い、デジタル広告市場が健全に発展することを目指して立ち上げた認証機構です。
JICDAQは2020年にJAA、JAAA、JIAAの広告関係3団体が協力して立ち上げられた急速なデジタル広告の発展とともに品質に関する課題が浮き彫りになりつつある状況から、それらの課題を解決すべく立ち上がった団体でデジタル広告の品質の課題は多々ありますが、特にその中の「アドアドフラウドを含む無効配信の除外」と「広告掲載先品質に伴うブランドセーフティの確保」に関する品質認証に取り組んで業界の健全化を推進しています。
ちなみに登録アドバタイザーは2023年2月現在112社、また登録事業者は167社でそのうち136社が品質の認証を受けており、今後もさらに参加企業は増えていくと思われます。
メディアの取り組み

クリテオ
ユーザーの興味関心や行動履歴を基にパーソナライズされた広告を自動配信するダイナミック広告を配信するCriteoでは早くからアドフラウド対策に取り組んでおり、独自のアドフラウド検出エンジンやクロスプラットフォームでのアドフラウド検出・排除テクノロジーを駆使して、アドフラウドを排除、デジタル広告エコシステムの健全化を推し進めています。
2019年には、世界的なデジタル広告の認証機関であるTAG(Trustworthy Accountability Group)において「TAG認定の不正防止」、「広告インベントリ品質ガイドライン」、「海賊版サイトでの広告表示やブランド価値毀損防止」の3つの認証を取得。
また2022年には、デジタル広告品質の第三者認証機構「JICDAQ(一般社団法人 デジタル広告品質認証機構)の認定基準を満たす「品質認証事業者」として認証され、自社が提供するすべてのソリューションとプロダクトについて、「無効トラフィックの除外対策」と「ブランドセーフティの確保」の2分野において品質認証を取得しているアドベリフィケーション先進企業です。
グノシー
キュレーションアプリのグノシーも早くからアドベリに取り組むメディアとして知られています。グノシーのプロモーションチームは、2017年の春に、アプリキャンペーンの拡大のための配信ネットワークを増やし、広告SDKベンダーよりから受信するログデータの分析を開始、その中で、継続率(インストール後にアプリを使い続けるユーザーの率)の配信ログに不自然な数字の動きが見られたため、分析したところアドフラウドの被害に遭っていたことが判明。その後、不正検知と除外をオートメーションすることが可能なアドフラウド防止機能を導入することで改善に取り組まれています。
以上のように、アドベリフィケーションへの取り組みは広告主、広告業界、メディアが一体となって取り組むことで推進力をもち今後、さらなる効果が見込まれています。海外に比べ1歩も2歩も遅れている日本のアドベリフィケーション。大企業だけでなく中小企業においてもぜひとも早急に対策を進めていきたいものです。


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