マスコミに加えてインターネットメディア、SNS、ブログなど様々な情報が我々の周りに溢れかえっている今、消費者は情報を処理するだけでも相当の労力を必要とします。そのような状況においてただ漫然と広告を打っても効果があるわけがありません。
身の回りにはモノや情報は溢れています。消費者が求めているのは、すでにあるものではなく、今までに無かったもの、また、それによって得られるメリットが明確になっていないと購入に行き着きません。大切なのはその商品・サービスを購入する理由なのです。今回は広告と合わせて実施を検討すべきPR戦略についてご説明したいと思います。
PRとは
PRとは(パブリック・リレーションズ)の略で公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会の定義によると、パブリックリレーションズ(Public Relations)とは、組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団)との望ましい関係を創り出すための考え方および行動のあり方とされています。
日本はRP後進国とも呼ばれていますが、アメリカではPRは広告とならんで、企業だけでなく政治などにおいても戦略的につかわれている手法で、そのマーケットは1兆円を超えるともいわれています。アメリカではオバマ大統領がそれまでの選挙のための宣伝活動ががマスメディア中心に行われてきたのに対して、SNSなどインターネットを主軸に置き換えておこなったことで大勝を収めたことで知られていますね。
PRと広告との違い
PRと広告とはしばしば混同されることもありますが、その違いはシンプルにいえば広告枠を購入して宣伝活動を行うのが広告、広告枠を購入することなく、マスコミなどに宣伝してもらうよう働きかけることがPRです。
そもそもPRとは広告よりも上位の概念で、その活動はマスコミだけでなく、政治やブロガー、インフルエンサーなど情報を発信するメディアや人全てに働きかけることで、広告だけでは実現できない成果を上げることが可能です。よくPRの効果を広告換算価値に置き換えるのはそのためです。アメリカの大学の学生は就職の際には広告業を目指す人とPR業界を目指す人と二つに分かれるといわれており、それだけでもその人気の高さがわかります。
もちろんPRだけでは収穫にいたらないケースも多く、PRで空気を作り上げた後には広告プロモーションによる刈り取りを行なって商品やサービスの売り上げにつながっていくため、実際にはPRから広告まで一貫したコミュニケーションデザインが必要となります。
PR成功事例
・カルビー「フルグラ」
PR成功事例として有名な事例の一つにカルビーの「フルグラ」があります。これはライザップのCEOも務められた名経営者と呼ばれる松本晃氏がカルビーのCEO時の2009年にそれまで年間売り上げが30億と売り上げが伸び悩んでいたシリアルに着目し、戦略PRという新しいマーケティング戦略を行うことで目標売上である100億を達成したというものです。
それまでシリアル=朝食というイメージ、固定概念がありましたがあえてそのワードを使わず、まったく別のものという認識・イメージチェンジを行うことに着手しました。呼び名は「グラノーラ」に変更し主食だけでなく副食としての新しい食習慣の提案をメディアだけでなく店頭の試食販売においても積極的に行なったのです。
例えば高齢者にはヨーグルトにフルグラを加えて食べると栄養価が上がり健康に良いことをアピールしたヨーグルを合わせた【噛むヨーグルト】、キッズにはパンケーキと一緒にフルグラを合わせることでフルーティーで健康にも良い【新しい朝食スタイル】イメージを与え、若い母親世代を誘引、またこの時期に秋冬にはやっていたマグカップ料理にフルグラを加えることで噛む食感を与える、付け足しの提案を行うことで秋冬時期の売り上げを上げることにも成功しました。
その他、中目黒にあるグラノーラ専門店に注目し、「グラノーラの専門店ができるほど、ブームの兆しが来ている」というプレスリリースを各メディアへ発信し、ターゲットでるシニア女性、若い母親世代が読んでいるメディアや、流通関係者が読む雑誌メディアに取り上げられることで、さらに需要を伸ばしました。
・ピジョン「ランフィ」
ベビー用品製造販売のピジョンは、世界的に大きなシェアをもつベビーカーメーカでもありますが、日本市場ではシェア5%と非常に小さなものでした。そこで2014年に新製品である「ランフィ」を発売するにあたり、戦略的にPRを行うことにしました。まずそれまでの日本人のベビーカーに対する評価はまず軽いか、そしてオシャレであるかどうかが評価基準となっていました。
そこでピジョンが行ったのが、オシャレでも軽くでもなく、機能性をアピールすることに焦点を当てました。「ランフィ」は他のベビーカーと比較した時に差別化できる特徴として、一般的なタイヤの厚みが13.8cmに対して、16.5cmの大きなタイヤであることで段差を乗り越えやすいという点をアピール。
それまで重視されていなかったベビーカーユーザーがベビーカーで段差を乗り越えるときにストレス軽減には大きなタイヤが必要ということを強く訴求したのです。またそのために段差でつまずいたときの衝撃を図る実証実験を実施し、ベビーカーにかかる衝撃は自動車が急ブレーキをかけたときの5倍ということ実証しました。この事実をメディアに流したことで、マスコミにも取り上げられ、本当に良いベビーカーは大きなタイヤのついたベビーカーという認識を普及させることに成功したのです。
ローマは一日にして成らず。ヒット商品の陰には綿密な戦略と努力の積み重ねがあったのじゃ
PRの主な手法
PRには直接メディアへ投げ込みを行うほか、PRサービス会社やインフルエンサーを活用するやり方があります。特にインターネットを活用したPR手法は短期間に数多くのメディアに対してアプローチでき、費用もさほどかからないため、最近ではこの方法が多く取られています。また、リリースされた情報はアーカイブ化されるため、SEMの観点からもメリットがあります。(SEOに関してはGoogleのアルゴリズム評価は得られにくいとされていますが)
・PRサービス会社を利用する
自社のみの運用と異なり費用はかかりますが、PRサービスを行請け負っている会社にリリースを依頼する方法があります。広報・PR部門がない、もしくはあっても経験豊かな人事がいない、もしくは日々の業務が多忙でリソースが割けないといった場合に有効です。
・インフルエンサーを活用する
◎PRに関するオススメの本
戦略PR

出版社:アスキー新書
同じ商品カテゴリーなのに「売れるモノ」と「売れないモノ」が生まれるのは、消費者が「買いたい気分」になる「空気」をつくりだせるかどうかが重要だと説き、国内のPRの地位向上に貢献された本田哲也氏の名著だ。PR会社ではなく広告会社志望の方も一度読んでみることをオススメする。
以上、今回は広告の上位概念でもあるPRについてご説明いたしました。もちろんPRだけでは企業の売り上げを継続的に伸ばして行くことはできません。広告との両輪によってうまく回して行くことが大切なのです。


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